2008 Fiscal Year Annual Research Report
セキュリティを保証するアドホックネットワークマルチキャスト通信
Project/Area Number |
19700073
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野口 拓 Ritsumeikan University, 情報理工学部, 講師 (00388133)
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Keywords | セキュア・ネットワーク / 高信頼性ネットワーク / アドホックネットワーク / マルチキャスト |
Research Abstract |
アドホックマルチキャスト通信では, ブロードキャスト性を有する無線通信を用いて, 送受信者以外の端末を経由してデータ伝送が行われることから, 第三者によるデータの盗聴・改竄などが容易であり, 有線ネットワーク以上にセキュリティ面で脆弱である. また, データ伝送は他端末が誠実に中継することを前提としているため, 悪意のある端末による不正行為に対して脆弱であり, 不正行為発生時には通信性能が大幅に低下する. 本研究では, アドホックマルチキャスト通信の安全性向上に主眼を置き, データを中継する第三者による盗聴・改竄を防止し, 不正端末に対して堅牢な高信頼アドホックマルチキャスト通信技術の開発を試みた. 具体的には, 以下の結果を得た. 1. 端末間の信頼度情報に基づくアドホックネットワーク端末認証技術の確立 アドホックネットワークにおいて安全な通信を確立する手法として, 端末利用者の個人的な信頼関係を基盤とした公開鍵証明書を用いた端末認証技術を提案した. 提案方式は, 中央サーバを必要とせずアドホックネットワーク内の端末のみで端末認証が可能であり, インターネットへの接続点を持たないアドホックネットワークにおいても運用可能である. 計算機シミュレーションにより, 提案方式の認証精度および通信負荷に関する性能評価を行った. 2. 安全なマルチキャスト経路制御プロトコルの提案 アドホックネットワークにおいて安全なマルチキャスト通信を実現する方式として, 安全な2端末間通信リンクを連結してマルチキャスト配送木を2本構築し, 悪意のある端末の不正行為に起因する通信リンク切断の影響を低減するマルチキャスト経路制御プロトコルを提案した. 計算機シミュレーションによる性能評価を行い, 悪意のある端末による不正行為発生時においても, スループット性能の低下を抑え安全かつ安定したマルチキャスト通信が実現できることを明らかにした.
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