2009 Fiscal Year Annual Research Report
MANETに適した故障耐性を持つ分散近似アルゴリズムに関する研究
Project/Area Number |
19700075
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
亀井 清華 Hiroshima University, 工学研究科, 助教 (90434977)
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Keywords | 分散アルゴリズム / 耐故障性 / 自己安定性 / 近似アルゴリズム / MANET / 分散近似アルゴリズム / safe convergence |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,MANETに適した分散近似アルゴリズムの設計として「安全に収束する」自己安定分散アルゴリズムの研究を行った.通常の自己安定分散アルゴリズムでは収束するまでに故障やトポロジーの変化が起こってしまうと,そこから新たに計算を始める事になる.つまり,頻繁に起こる変化には対応し切れる保証がないというのが現実である.そこで,故障が起こった後の任意の状況から短時間で解の質を問わない安全な状況に遷移させ,そこからは安全性を崩さずに最適な解に収束させるという「安全な収束」を実装する事にした.昨年度は最小連結支配集合問題についてユニットディスクグラフにおいての近似比の保証を行ったが,今年度は一般のグラフにおける近似アルゴリズムの設計を行い,国際会議に投稿中である. また,自己安定分散アルゴリズムの一つの方向性として故障封じ込めの性質を持たせる研究がある.これは,通常の自己安定アルゴリズムでは解状況で故障が起こった場合,どんなに小さな範囲の故障であっても全プロセスを巻き込んで回復に向かうという遷移が考えられるが,故障封じ込めアルゴリズムでは解状況で故障が起きてから回復までに状態を変えるプロセスの数とステップ数を小さく制限するものである.故障封じ込めの性質を備えたアルゴリズムの設計は非常に難しいとされている.通常の自己安定アルゴリズムの性質として複数のアルゴリズムを合成することが可能であり,この性質はアルゴリズムの設計に大いに役立っているのであるが,故障封じ込めの性質をもつ自己安定アルゴリズムにその性質はそのまま利用できなかった.そこで本年度の一つの研究として,故障封じ込めアルゴリズムの合成手法を提案した. 更に,各ノードがメモリを持たないロボットモデルにおけるgatheringについての研究も進めており,これは計算や記憶能力の少ないセンサーネットワークにも応用可能であると考える.
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