Research Abstract |
小型携帯端末等において,情報源符号化(データ圧縮),公開鍵暗号化及び通信路符号化(誤り制御符号化)を組み合わせて低計算量で効率的に行うため,統合符号化法を提案した.従来,これら3機能を統合的に有する符号化法は提案されておらず,本研究の成果は学術的観点から重要である.また,提案手法における符号化処理は,行列演算を主体とした簡易な処理により実現できることから,本手法は回路規模や消費電力等に制約のある小型携帯端末等への適用に有効である.本年度の研究では,データ圧縮効率を高めるため,拡張Huffman符号を用いた統合符号化を提案し,従来の手法よりも1〜3%程度圧縮率を向上できることを示した.また,誤り制御能力の向上のため,3階層のTannerグラフを用いた復号アルゴリズムを提案し,これにより復号語の誤り率が従来の1/10程度となることを示した.さらに,暗号の安全性に関する評価を行い,提案した統合符号化とハッジュ関数等を組み合わせて用いることにより,適応的選択暗号文攻撃に対して識別不能(IND-CCA2)な公開鍵暗号方式を実現できることを示した. 分散ストレージシステムにおいて,誤り制御符号化/復号処理を分散処理とすることにより,各ノードにおける計算負荷を分散し,同時に高信頼化を実現するため,ブロックデザインに基づく消失訂正符号を構築した.また,提案した符号を用いて,スペアディスクを必要としない高信頼分散ストレージシステムを提案した.提案手法の解析的評価を行い,従来よりも高信頼なストレージシステムが構築できることを示した.
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