2008 Fiscal Year Annual Research Report
情報科学の基盤技術を用いた分子レベル材料設計システム
Project/Area Number |
19700103
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 亮子 Kanazawa Institute of Technology, 情報学部, 講師 (30303332)
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Keywords | シミュレーション / ナノテクノロジー / 高性能計算 / データ処理 / 可視化 |
Research Abstract |
今年度は, scFvを利用したセンサーチップの材料設計シミュレーションに関する研究を行った. scFvは免疫物質の一種であり、抗体物質のうち、抗原と結合する部分のみを合成した人工分子である。scFvは合成が容易であり、シリコンウェーハ上に配置したscFvチップが製作されているので、簡易診断チップへの応用が期待されている。scFvチップを用いて抗原物質を検出する手法は、scFvチップのキャパシタ計測が現在有望視されているが、scFvのチップ上の密度やターゲット分子の密度とキャパシタ変化量の関係が不明である。この問題を実験的に調査するのは困難であるため、シミュレーションによって調査を試みた. まず、古典的なモデルを用いてscFv分子のキャパシタを評価した。scFvはタンパク質の一種であるため、水溶液中では親水基が外側に、疎水基が内側に存在することが知られているので, 内側が絶縁体で満たされて外側が導体でできた立方体モデル、または導体でできた平板モデルが考えられる. 導体でできた立方体および平板のキャパシタ評価法はすでに確立されているので、その手法を使用し, 種々の形状のscFvモデルに対するキャパシタ評価を行った. 次に、抗原分子との結合の有無によるscFvチップ全体のキャパシタ変化量を評価した。scFv分子とベースのシリコンチップをRC回路と考えてキャパシタを評価する手法が既に提案されているので、これを抗原分子と結合した状況に拡張し、キャパシタ変化量の評価式を得た. 今年度行ったキャパシタ評価はいずれもモデルに対するものであり、実際の物質と比較しないとモデルの評価ができず、様々な条件を想定した数多くのシミュレーション結果と現実の実験結果を照合する必要があるため、本研究で開発している材料設計システムによって今後の調査を行う必要がある。
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Research Products
(1 results)