2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報科学の基盤技術を用いた分子レベル材料設計システム
Project/Area Number |
19700103
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 亮子 Kanazawa Institute of Technology, 情報学部, 講師 (30303332)
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Keywords | シミュレーション / モデル化 / タンパク質 / 免疫物質 |
Research Abstract |
今年度は主に免疫物質scFvを利用したセンサーチップの材料設計について研究を行った.免疫物質scFvは人工的に合成できるタンパク質の一種であり,抗原抗体反応の反応基部分だけを取り出した人口分子である.このscFvは金薄膜上に分子レベルで固着したscFvチップを作製できることが知られており,さらに抗原抗体反応を起こすとscFvチップのキャパシタンスが変化するために容易に抗原抗体反応を検出ことから近年注目されている.しかし,scFvチップのキャパシタンス変化と抗原抗体反応の関係はまだ明らかになっていないため,分子密度とターゲット分子の密度および検出感度の関係が不明である.一方近年の計算機は大変高速であるため,簡略化したモデルを扱うと1つのシミュレーションは数秒程度で終了することができる.そこで,有限の探索範囲内を網羅的にシミュレーション実行し,実験結果を説明するパラメータを探索することを目指して研究を行った.最初のステップとして,scFv分子を導電体の平板あるいは直方体としてモデル化し,キャパシタンスを数値的に評価した.その結果,2枚の正方形平板を45度で結合したモデルは同じ表面積の長方形平板よりも小さいキャパシタンスを持つことがわかった.いずれのモデルでも1個のscFv分子であれば,数秒程度で実行終了する.scFvモデルのキャパシタンスと実験的に得られた現実のscFv分子のキャパシタンスと数値を比較することが今後の課題である.さらに,抗原抗体反応前後でのチップ全体のキャパシタンス評価モデルを作製したが,チップ全体の回路モデルに定説がないため現段階では検定できず,実験的結果と比較することが今後の課題である.また,scFv分子のシミュレーションは,まだ材料設計システムと組み合わせるまでには至っていないので,これも今後の課題である.
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Research Products
(1 results)