2007 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響空間をメディアとしたインクルーシブ・コミュニケーションデザイン
Project/Area Number |
19700115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩瀬 隆之 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (90332759)
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 視覚障害者支援 / 3次元音響 / コミュニケーション / ロボット |
Research Abstract |
本研究は,「視覚障害者(全盲)と晴眼者とが感性的コミュニケーションをかわす3次元音響空間メディアを構築すること」を目指した.具体例としては,視覚障害者と晴眼者とがある絵画を前に言葉で絵について語り合う場面を想定し,あたかもその絵の世界にいるような音響空間(教会や洞窟,平原など)を再現することである.これによって,視覚障害者も晴眼者も体験したことのない美術鑑賞のような感性的コミュニケーションを提供することができる.障害の有無に左右されないシステムデザイン手法としては,ユニバーサルデザインのポスト概念として知られるインクルーシブデザイン手法を採用した.平成19年度の具体的な目的は,(A)視覚障害者と晴眼者の聴覚認知モデルの相違点に基づいたインクルーシブデザイン手法の確立,(B)3次元音響バーチャルリアリティによる高臨場感音場の生成,そして(C)コミュニケーションロボットを用いた3次元音響空間メディアの実装である.視覚障害者と晴眼者との共同ワークショップでは,視覚情報の可触化により形,大きさ,位置関係,肌理などの情報を分解することで理解を増幅している可能性が示唆された.同様に,聴覚においても音源の位相関係のように特定の情報が増幅されるようなシステムデザインが優先されることが分かった.さらに残響音や反射音をコントロールした3次元音響バーチャルリアリティを構築し,マルチスピーカシステムによって聴取者を取り囲む仮想雰囲気情報を生成した.身体中心上の距離定位が奥行き感に影響を及ぼすとの仮定から,実環境で録音した音と仮想環境で生成した音とを交互に提示しながら先天盲の被験者7名にその奥行きを判断させ,その効果の差異を調べた.
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Research Products
(5 results)