2008 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響空間をメディアとしたインクルーシブ・コミュニケーションデザイン
Project/Area Number |
19700115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩瀬 隆之 Kyoto University, 総合博物館, 准教授 (90332759)
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Keywords | インクルーシブデザイン / 視覚障害者支援 / 3次元音響空間 / 絵画鑑賞 / 触覚インタフェース |
Research Abstract |
本研究は, 視覚に障害がある人との言葉による美術鑑賞に着想を得て美術鑑賞コミュニケーション支援システムの開発を行った. 障害のある人や高齢者をリードユーザとしてデザインプロセスに巻き込むインクルーシブデザインにより, 見えている/見えていないに関わらず, 両者にとって未経験の新たなコミュニケーション空間の実施例として3次元音響空間を採用した. 視覚障害者と晴眼者の認知モデルの相違点に基づいたインクルーシブデザイン手法を確立するため, 鑑賞絵画空間を立体コピーによって可触化した後, その上を探索する手先軌道を画像処理によって追跡した. 実験の結果, 対象画像の複雑さの変化と全盲の被験者の手先軌道変化のうちとくに大きな変化の分散(30cm/s以上)とに相関があることが分かった. 視覚に障害のある人の空間把握に関しての知見を深めるため, デジタルカメラで撮影した景色を画像処理によって情報削減するていどを視覚障害者自身が調整できるインタフェースを開発し, 視覚障害者自身にとって空間把握に適した情報削減度を調べた. さらに3次元音響バーチャルリアリティによる高臨場感音場の生成において, 高臨場感とは単に音質などの音響特性がある水準を達成することのみならず, 「探索」という能動的な関わりが要求されることが分かった. この能動的な関わりをシステムに反映するには, 「何に関心をもっているか」という注意状態を特定する必要があるが, 本研究においては, 立体コピーによる触図上のタッピング動作を画像処理によって検出する入力インタフェースで被験者の注意方向を特定した.
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Research Products
(22 results)