Research Abstract |
20年度の研究では, 顔文字が付加された文章を読むときの脳計測と, 顔アイコンを見たときの計測を実施した. 抽象顔の非言語情報としての効果を考察するため, 文章と抽象度が最も高い顔文字が組み合わさった「顔文字付きの文」を読むときの脳活動を調べた. 「顔文字付きの文」(たとえば, 「歌を歌って楽しかった(^_^)」)は, 言葉としての意味解釈がされる文と, 感情表現の中で単純な顔文字とを組み合わせたものであり, 言語情報と非言語情報の組み合わせの中でもっとも基本なものである. 実験結果から, 顔文字付きの文のように言語/非言語を含んだコミュニケーションでは, 左下前頭回付近で言語的な処理, 右下前頭回付近で非言語的な処理をしている可能性がある. 「顔文字付きの文」を用いることで, 言語情報/非言語情報コミュニケーションの双方に関連する部位が同時に確かめられたことは非常に有益である. また, 顔文字より抽象度が低く, 人の顔により近づいた顔アイコンによる計測も実施した. 顔文字よりもわずかに抽象度の低い顔アイコンを用いたときにも, 顔文字と同様に右下前頭回と帯状回の賦活が考えられた. 実験の結果, 顔文字の場合は右紡錘状回が賦活しなかったことから, 顔アイコンは顔文字より人の顔に近いことが脳計測から確かめられた. さらに, 顔アイコンの目や眉, 口などによる誇張表現が生物的な動作を連想させ, 側頭回領域付近を有意に賦活させたかもしれず, 抽象顔独自の効果である可能性が得られた. これらの実験を基に, さらに別の抽象顔(マンガの顔など)を分類し, 脳計測実験を予定しており, さらに成果を出していく.
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