Research Abstract |
本研究の最終目標は,3次元物体の設計を直感的に行うことが可能なシステムを構築することである.特に大規模システムにおける複雑部品の組み立て工程に着目し,組み立て工程をより直感的にシミュレートするため,没入型VR装置内に3次元立体映像を用いて組み立て工程をリアルタイムで模擬可能なシステムの構築を目的としている.本年度の目標は1)GPUを使った干渉判定エンジン構築の基礎検討2)バーチャル空間内のインターフェイス開発3)角度可変没入型バーチャルリアリティシステムの開発とした.1)の研究課題は,現在形状表現に使用しているポリゴンベースの表現手法から,陰関数を使用することにより,よりなめらかな形状を表現しようとするものである.また,本研究課題の目的である設計支援にとっては,陰関数表現を使うことで,物体間の衝突判定が容易になるという大きな利点がある.ただ,処理量が非常に多くなるため,リアルタイム処理が困難であるという欠点がある.そこで,GPUを利用した処理を検討した.結果,頂点数が少ないモデルであれば適用可能であるが,現実に使用したい大規模な頂点数に適用することは難しく,現状ではリアルタイム処理が難しい状況である.2)については温度感覚呈示デバイスを実際の数値シミュレーション結果に適用し,成果を発表した.ただ,デバイスが把持するタイプであるため,使用する際に不便であることと,応答速度の遅さが課題である.3)について,構築した角度可変没入型バーチャルリアリティシステムで上記シミュレーション結果を可視化し,温度提示デバイスと同時に使用することを可能とした.結果,3次元空間での位置情報を温度提示デバイスにフィードバックすることができ,より直感的に物理現象を観察することを可能とした.
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