2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700123
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
薗田 光太郎 National Institute of Information and Communications Technology, 情報通信セキュリティ研究センター, 有期研究員 (90415852)
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Keywords | ユーザ認証 / 聴覚探索 / 探索非対称性 / バイオメトリクス認証 |
Research Abstract |
本研究の目的は, パスワード, 所有物, バイオメトリクスによる認証方式と異なる新たな認証手段として, ユーザの負担が小さく, 複製の危険性がなく, 認証に対する了承確認が可能な, 聴覚記憶を用いた認証方式の実現可能性を検討することである. ユーザは認証者から同時提示される音刺激群の中に本人のみが鋭敏に検知できる刺激を確認し, その情報を認証者に返答する. 本人以外には他の刺激との弁別が困難な刺激を用いることで, 認証者は本人と偽者を弁別できるしくみである. 本年度は, 本人固有の特徴刺激音として, 他人による自分を呼びかける音声の利用について検討を始めた. 人間は, 複数の音声が混在した環境であっても, 自分に関する特定の音声に対していち早く注意を向けることが可能であり, この効果はカクテルパーティ効果と呼ばれている. 本人(Aさん)と他人とに対し, Aさんを呼びかける声を2, 3人の音声と同時にヘッドフォンで聴取させ, Aさんを呼びかける声の有無を回答させた. 同時に回答までの反応時間についても計測した. その結果, 呼びかけられた本人と他人とで回答の正答率に大きな差異は認められなかったものの, 反応時間については同時に聴取させる音声の数の増加に対し, 本人より他人の反応時間の増加が大きい傾向が確認された. ただし, 名前の音韻やモーラ数など呼びかけられる名前毎に検出の難易度に大きなばらつきが見られ, 反応時間において他人との相対的な比較なしに本人のみの絶対的な反応時間をもって本人の同定をすることが困難である. したがって, 呼びかけ音声に対する聴取反応は, 汎用的なユーザ認証の実現にはそぐわないと考えられる.
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Research Products
(1 results)