Research Abstract |
昨年度に引き続き, 意味情報リソース(特に語彙的意味構造の辞書について)の調査, 検討を行った. 英語においては, 動詞意味クラスの辞書であるVerbNet, およびそれとFrameNet, PropBank, WordNetの相互関係を付与したSemLinkの開発が行われており, 両リソースとも対象のテキスト(主に新聞記事)に対しては被覆率が高く大規模なリソースである. また, VerbNetは意味クラスごとに語彙的意味の情報を記述しており, さらに, それを利用して語彙概念構造辞書を半自動構築する研究が存在する. 従って, 本研究ではVerbNetおよびSemLinkを用いて意味構造獲得の実験を行う方針とした. 現在までに, VerbNetとSemLinkを用いた動詞意味クラスの獲得実験を行っており, 今後発表予定である. また, 構文解析の出力フォーマット(句構造などの統語構造や, 述語項構造などの意味構造)を横断的に比較するフレームワークとして, タスクに基づく構文解析比較手法を提案した.具体的には, 構文解析の出力を様々なフォーマットに変換し, PPI抽出器の入力として与え, PPI抽出の精度を比較する. これにより, 構文解析の出力フォーマットによる後段の自然言語処理に対する寄与度を比較することができる. 実験により, 述語項構造やそれを近似する依存構造が, その他の出力フォーマットよりPPI抽出への寄与度が高いことが示された. 将来的には, 上記の研究による語彙意味構造辞書による意味解析と統合することで, 意味解析の有効性を検証する予定である.
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