2009 Fiscal Year Annual Research Report
気導音声と骨導音声のスペクトル比を用いた新しい話者識別システム
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19700159
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 幹男 University of Fukui, 大学院・工学研究科, 助教 (70313731)
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Keywords | 骨導音声 / 話者識別 / セキュリティー / ユビキタス / 雑音耐性 |
Research Abstract |
本年度得られた研究成果は以下の通りである。 1. 気導音声と骨導音声のスペクトル比を用いた話者識別システムの識別精度に関する評価 70名の日本語5母音発声時の気導音声と骨導音声に対して,話者識別実験を行った。上限周波数を3kHzから7kHzまで0.5kHz刻みで変化させて,話者識別実験を行った結果,6.5kHzとしたとき,話者識別率が最も高くなることが分かった。このとき,MFCC(メルケプストラム係数)を特徴量として用いると,話者数が70名で97.1%の話者識別率が得られた。 2. 風邪などによる声質変化への対応やなりすまし防止等への応用についての検討 40名に対して,日本語5母音発声時の気導音声と骨導音声を鼻声母音(鼻をつまんで発声した母音)について話者識別実験を行った結果,鼻声母音を入力した場合も,MFCCを用いた場合の識別率は対数パワースペクトルをそのまま用いた場合より高くなることが分かった。しかし,鼻声母音の場合,通常母音のときに比べて識別率が著しく低下した。 3. 骨導口笛音の分析とその応用 音声と口笛音それぞれについて,気導音に対する骨導音の音質劣化の程度を聴取実験によって比較した。その結果,骨導口笛音では音質がほとんど劣化しないことを定量的に示すことができた。また,骨導口笛音を分析した結果,音質劣化の原因となる音がこもる現象が起こらない理由が明らかとなった。しかし,骨導口笛音の周波数特性を実測した結果,人が異なれば共振周波数が異なることが分かった。この特徴を利用した骨導口笛音による話者識別の可能性が示唆される。
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Research Products
(4 results)