2008 Fiscal Year Annual Research Report
音声に基づく印象形成の仕組みの解明-アニメの善玉と悪玉の音声の特徴抽出
Project/Area Number |
19700173
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
勅使河原 三保子 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 研究員 (40402466)
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Keywords | 音声学 / 言語学 / 印象形成 / ステレオタイプ / 役割語 / 表現豊かな音声 / 人物像 / ポピュラーカルチャー |
Research Abstract |
日本のアニメーションにおける善玉と悪玉の声は日本文化における良い人物、悪い人物の声のステレオタイプを反映すると考えられる。研究代表者は現在までに、日本のアニメにおける善玉と悪玉の声を音声学者の内省に基づく受聴分析によって記述し、その声を刺激音として聴取実験を行うことによって、日本のアニメにおける典型的な善玉と悪玉の声のステレオタイプの特徴記述を試みてきた。本研究ではその結果に基づき、より多様な声を実験・分析の対象として、日本文化における様々な人物像と声の音声的特徴との対応を、音声学的手法を用いて記述することを試みる。さらに、機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)を用いた音声器官の生理的観察や音響分析を補うことにより、より客観的で一般化できる結果を得ることを目標とする。本年度は、昨年度に新たに受聴分析および聴取実験に用いる候補として選択した資料から分析可能な音声部分の抽出を行い、分析に着手した。また、同資料から聴取実験に用いるための実験刺激音声に加工する作業を続行した。さらに、研究代表者を含めた男女各2名ずつ計4名の音声器官を意識的に動かせる日本語母語話者を被験者として、fMRIを用いて咽頭部の形状を変えて発声する際の声道断面を撮像し、画像データの解析を進めている。まだ解析結果は出ていないが、複雑な発声タスクであったにもかかわらず被験者全員から一貫したデータが得られ、咽頭部の形状と声質の関係を紐解くのに重要なデータを得ることができた。最後に、音声に基づく印象形成は、様々な分野で関心が持たれるテーマでありながら、分野を横断的に広く概観した文献は研究代表者が知る限りないので、本研究で収集できた既存の研究についてまとめる論文を執筆し、現在論文誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)