Research Abstract |
本研究課題の目的は,リアルタイム心拍フィードバックによる音楽編曲・作曲システムの構築とその効果の検証を行うことである.平成19年度の研究実施計画は,(1)心拍をリアルタイムフィードバックして音・音楽刺激に変換するシステムの構築,(2)開発された上記システムを用いて生成した単音による聴取実験,であった。これらの課題は,特に音楽のテンポに着目した研究課題であり,音刺激による心拍の引き込み・同期現象を人間の生理状態や感情のコントロールへと利用する技術である.また,このようなシステムの構築は,生体信号処理,音楽情報処理,非線形解析などの複数の分野の知見を要し,非常に境界性の強い点が特徴である.(1)のシステム開発は既に終えたものの,(2)についてはシステム開発に予定以上の時間を費やしたため,まだ聴取実験の途上である. また,本研究課題の最終的な目的は,テンポ以外の音楽の要素も含んでいる.メロディなどの音楽要素も包含しつつ,かつ(1),(2)の研究内容の基礎固めとなる研究として,(3)連続して提示される音刺激聴取下における心拍間隔の観察,(4)心拍間隔を評価として用いる進化計算による自動作曲システムの開発,の2つの研究を行った.(3),(4)の研究は,(1)の研究で構築したシステムをもとに実施されており,本研究課題の研究内容を実施するにあたり理論的な根拠を強めるとともに,最終的に構築されるシステムをより効果的なものにする可能性が高い.また,これらの研究成果については,学会発表および論文投稿を行っている.
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