2008 Fiscal Year Annual Research Report
知覚・認知に基づく抽象図形の感性情報データベースの開発
Project/Area Number |
19700212
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
山口 由衣 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 契約研究員 (00442765)
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Keywords | 実験系心理学 / 感性情報学 / 図形 / デザイン / 知覚・認知 |
Research Abstract |
本研究は、知覚・認知特性に基づいた、コンセプト(感情・印象)を含んだ標準化図形データベースの開発を目的とする。ここでは印象を含んだ図形の知覚・認知特性を明らかにし、これを基盤としてコンピュータによって意味を含んだ図形を発生するシステムを開発する。さらには生成された図形を用いて心理学的な実験を行い、最終的に、標準化した図形データベースを構築する。 本年度の成果は以下の3点である。(1)昨年度確立した図形の基本生成法によって作成した図形を用い、心理学的な実験を行った。具体的には、(1)ディスプレイの中央に配した3個の図形の類似判断と、その反応時間の測定、および、(2)仮現運動を用いた見えの距離調整課題による潜在的類似判断課題、を実施した。これにより、図形の類似判断を行う際、複雑性という知覚・認知特性が他の特性より優先的に処理されることが示された。(2)コンセプトを含んだ図形特性の解明の1例として、コンテクスト(文脈)に依存した刺激を用いた心理実験を実施した。ここでは、コンテクストに依存した刺激として、図地が分化しやすい/しにくい図形の明度とパタンの組み合わせを変化させ、その知覚印象を測定した。この結果、図地分化しやすい図形(コンテクストを生成する図形)は、図形中の明度の配し方によって図形全体の明るさ印象が変化することを示し、意味を含んだ図形の一特性を明らかにした。(3)昨年度生成した意味を含んだ図形を用い、食味評定実験を実施した。味の印象を表現する図形を評価軸の両端に配し、飲料のイメージを評定する課題を実施したところ、意味を含んだ図形を標準化することによって、非言語刺激の評定ツールとなる展望を得た。 次年度は意味を含んだ図形を標準化し、コンセプトを含んだ図形データベース構築を目指す。
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