2007 Fiscal Year Annual Research Report
複素ニューラルネットワークの非線形ダイナミクス解析とその工学応用に関する研究
Project/Area Number |
19700214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 剛平 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 助教 (90444075)
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Keywords | 複素ニューラルネットワーク / 感性情報処理 / 非線形科学 / 画像処理 / 人工知能 |
Research Abstract |
複素ニューラルネットワークは、複素数による状態表現と相性の良い波動現象などの情報処理に適しており、工学応用の可能性が近年ますます注目を集めている。しかし、その理論的枠組みはまだ十分に確立されたとは言えず、実数ニューラルネットワークとの相違点も明らかではない。本研究の目的は、複素ニューラルネットワークを非線形力学系の観点からとらえ、具体的な応用例を念頭に置きつつ、基礎数理的側面を体系的に理解することである。 本年度は、交付申請書で計画した通り、位相情報のみを扱う複素ニューラルネットワークに着目した。このタイプのネットワークは、多値連想記憶や多階調画像処理などの離散多状態が関係するシステムの情報処理に適している。申請者は、従来の複素連想記憶モデルにおいて一般的に用いられてきた複素活性化関数の性質を考察し、そこに非線形性を導入することで、連想記憶モデルとしての性能が向上することを数値実験によって明らかにした。特に、状態数が大きくなるにつれ従来のモデルとの差がより顕著になることに大きな意義がある。実際、ノイズの加わった多階調画像の復元に応用したところ、従来手法では256階調の標準テスト画像を正しく復元するのは困難であったが、提案手法ではそれが可能となった。また、この結果を信号対雑音比を用いて定量的に評価した。以上のように、複素ニューラルネットワークにおける非線形性の効果を実証し性能向上を実現できたという点で、当初の目標を達成した。
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Research Products
(4 results)