Research Abstract |
日常的なWebにおける探索的検索を対象に, 「課題タイプ」と「情報探索に関する経験や知識」がWebの情報探索行動に与える影響について検討を行った. 実験では, Webの情報探索行動を(1)眼球運動測定, (2)Web操作ログ, (3)発話プロトコル, (4)事後インタビューにより記録した.実験では質の異なる2つの課題が用いられた.一方が特定の主題に関する情報を収集する「レポート課題」で, 他方が様々なWebサービスとの相互作用が求められる「旅行課題」である.レポート課題では, 歴史のレポートを想定し, 必要な情報を収集することが求められ, 旅行課題では, 友人や家族との国内の旅行計画を立てるための情報を収集することが求められた.なお, 本研究では, 被験者の日常的なWebにおける情報探索のプロセスを明らかにすることを目的としているため, 課題の具体的な内容(レポート課題 : 主題, 旅行課題 : 同伴者, 目的地, 移動方法など)については, 事前インタビューをもとに個別に決定した.また, 情報探索の経験や知識の影響を調べるため, 被験者として学部生11名と図書館・情報学を専攻する大学院生5名を対象とした.学部生を対象とした分析から, レポート課題では旅行課題に対して, サーチエンジンから返される検索結果ページを下位ランクまで閲覧しており, さらに選択した特定のWebページを時間をかけて閲覧していることが明らかにされた.旅行課題では, 選択されたページを閲覧する時間は短く, 選択されたページが必要であるか否かを素早く判断し, リンクを次々にたどっていく行動が示された.一方, 大学院生の分析からは, 課題問でページの閲覧時間や閲覧数に差が無いことが示された.この結果から, 学部生は課題毎に異なる探索スキーマを用いていたのに対して, 大学院生は課題に左右されない探索スキーマを用いていた可能性が示唆された.
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