2007 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援学校における学校図書館の現状と課題-全国悉皆調査と事例調査を通して-
Project/Area Number |
19700233
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
野口 武悟 Senshu University, 文学部, 講師 (80439520)
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Keywords | 学校図書館 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
本研究は、これまで実態が詳らかでなかった特別支援学校(盲学校、聾学校、養護学校)の学校図書館について、その現状を明らかにするとともに、課題を総合的に考察することを目的としている。研究方法としては、全国の特別支援学校全校(分校を含む)を対象とした質問紙調査の実施とその結果を踏まえて特別支援学校数校を対象とした詳細な訪問調査を実施する。特別支援教育における学校図書館の研究は、わが国では欧米に比してきわめて少ない状況である。しかし、児童生徒ひとり一人のニーズに応じた特別支援教育の推進のためには、わが国でも特別な支援が必要な児童生徒のための学校図書館メディアとサービスのあり方に関して多角的に考究を進めることが必要と思われる。本研究は、そのための基礎研究として位置づけられるものである。 平成19年度は、全国の特別支援学校全校(分校を含む)1013校を対象に学校図書館の現状に関する質問紙調査を実施した。その結果、620校より回答があり、回収率は62.8%であった。現在(平成20年3月末)、結果の集計と分析を進めているが、現時点で判明しているおおよその傾向として、(1)施設・設備やメディアの整備状況は、盲学校、聾学校に比して養護学校(特に知的障害養護学校)で立ち遅れていること、(2)そこには、予算の配分状況が影響している可能性があること、(3)司書教諭の発令は、盲学校、聾学校では1人の発令もないところが大半であるのに対して養護学校では1校に2入以上発令されるケースが少なくないこと、(4)学校司書の配置は、盲学校、聾学校が中心で、養護学校にはほとんど配置がないこと、などを指摘することができる。なお、詳細な結果の集計と分析については、平成20年度に図書館情報学関係、特別支援教育関係の学会の研究大会等で報告するとともに、論文にまとめ学会誌等に発表する予定である。
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