2007 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット上の相互扶助における匿名性がもたらす信頼性に関する研究
Project/Area Number |
19700241
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
折田 明子 Chuo University, 戦略経営研究科, 助教 (20338239)
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Keywords | 情報社会学 / 匿名性 / 相互扶助 / ネットコミュニティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、インターネットを介した相互扶助において匿名性がもたらす信頼性を検証し、匿名性を活用した相互扶助の実現に貢献することである。本年度は、まずインターネットを介した情報交換がどのような場で行われているのか、Web2.0と称されるサービス全般について調査を実施した。次に、こうしたサービス全般の匿名性に関する設計を整理するため、匿名性に関する先行研究・関連研究のサーベイを実施した。その結果、匿名性がもたらす効果(コミュニケーションにおける自己開示を促すと同時に、コミュニケーションの脱抑制化をも促す)および、匿名性の構成要素が明らかになった。本研究では、特にPfitzmannらが提唱する"anon terminology" (匿名性用語の定義)に着目し、これを援用した関連研究について調査を実施した。その結果から匿名性の程度はリンク可能性(linkability)およびその一覧性によって変化するという仮説を導出した。仮説に基づいて既存のサービスを構造的な観点から分類した。これにより、多義的に用いられてきた「匿名性」という言葉の再定義を試みている。 相互扶助という行為における匿名性の影響に関しては、既存の知識共有コミュニティによる公開データを対象に分析を実施した。その結果、匿名性の高い(リンク不能な状態)状態であっても、ユーザ間の評価システムを導入することによって回答の質が保たれていることがわかった。本分析および先行研究による仮説を元に、インターネット利用者に対する調査を実施した。 本研究の成果は、国内論文誌1件、国際学会1件、国内学会4件において発表した。また、Webサイトを通じて随時公開している。
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Research Products
(9 results)