2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳波・脳磁図計測と計算モデルを用いた音の補完現象の研究
Project/Area Number |
19700244
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
杉本 俊二 Toyohashi University of Technology, 工学部, 助教 (50422811)
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Keywords | 聴覚誘導 / 音の補完 / 計算モデル / 脳波 / 脳磁図 / 光学的計測 |
Research Abstract |
本実験の目的は、脳波/脳磁図計測により、音の補完(聴覚誘導)、特に音声の補完にかかわる事象関連電位(ERP)を明らかにするとともに、神経応答のコンピュータシミュレーションを用いて、その神経機構を解明することである。現在のところ、脳波計測実験を用いて、日常句の補完現象に伴う生理学的基盤を特定している。実験で使用した日常句は、「ありがとうございます」、「数値解析」、「ガソリンスタンド」、「どういたしまして」などである。まず、各オリジナル音声の一部分を無音にすることによって、そのままでは聴取不可能であるような音声(非補完音声)を作成した。次いで、それが聴き取り可能になるよう、その無音区間にホワイトノイズを挿入した音声(補完音声)を作成した。オリジナル音声、非補完音声、補完音声を各被験者へそれぞれ100回繰り返し呈示し、ERPを求めた。補完音声を提示した場合、実際に補完が生じて聴き取り可能になった被験者と、聴き取り可能にならなかった被験者があった。その補完の有無に基づいてERPを比較したところ、補完が生じた被験者の前側頭部や前頭中心部でのERPにおいて、約10Hzの周期的リズムが生じていることがわかった。この周期的リズムは、オリジナルの音声を提示した場合にも同様に観察されたことから、日常句の補完や理解に関連した生理学的基礎であると考えられる。また、電位感受性色素を用いた光学的計測を行い、交替音に対するモルモット聴覚皮質ニューロンの応答パターンを観察することにより、聴覚皮質における周期的リズム発生の基本的性質を調べた。この結果および過去の生理学的知見に基づき、聴覚皮質ニューロンの周期的リズムを再現する計算モデルを作成した。今後は、この計算モデルと脳波/脳磁図計測を用いて、音声の補完時の周期リズムがどのように発生し、また言語理解においてどのように役立っているかを調べる予定である。
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Research Products
(2 results)