2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700249
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
嶋田 総太郎 Meiji University, 理工学部, 講師 (70440138)
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Keywords | 認知科学 / 脳・神経 / 実験系心理学 / 脳機能イメージング |
Research Abstract |
本研究では、自己と他者の身体が脳内でどのように表現されているか、またそれらがどのように連関しているのかを、脳機能計測、生理指標計測、および認知行動実験を通じて明らかにする。本研究は、研究項目1「自己と他者の脳内身体表現生起メカニズム」と研究項目2「他者身体表現と自他共有身体表現の連関メカニズム」からなる。2008年度は、研究項目1では、受動的運動および能動的運動において自己身体映像が遅延した場合の自己認識課題について行動実験を行った。その結果、両条件とも約200ミリ秒程度の映像遅延で被験者が遅延を検出できたが、その弁別曲線の傾きが条件間で異なることを見出した。受動運動と能動運動における自己身体認識過程の違いを遅延視覚フィードバックを用いて詳細に調べた研究はこれが初めてであり、現在国際論文誌に投稿準備中である。また、同様の遅延視覚フィードバックを用いたラバーハンド錯覚実験を行った。ラバーハンド錯覚は身体運動を伴わず、触覚刺激と視覚フィードバックの相互作用によって起こる錯覚であり、前述の運動課題を補足する実験として位置づけられる。実験の結果、約300ミリ秒の時間ずれまではラバーハンド錯覚が起こるが、それ以上の遅延になると錯覚の度合いが有意に弱くなることを確認した。研究項目2では、2人のモデルが対戦ゲーム(ジャンケン)をしている映像を見ているときの脳活動を測定した。このとき、被験者は一方のモデルを応援するように指示してある。その結果、応援しているモデルが勝ったときのほうが負けたときよりも運動野が有意に強く活動することを確認した。この研究成果はNeuro Report誌に掲載が決定している。これらの成果は自他共有身体表現の活性が状況によって変化することを示唆するものであり、自他身体表現のダイナミクスに関する有意義な知見だと考える。
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