2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700249
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
嶋田 総太郎 明治大学, 理工学部, 講師 (70440138)
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Keywords | 認知科学 / 脳・神経 / 実験心理学 / 脳機能イメージング |
Research Abstract |
本研究では、自己と他者の身体が脳内でどのように表現されているか、またそれらがどのように連関しているのかを、脳機能計測、生理指標計測、および認知行動実験を通じて明らかにする。本研究は、研究項目1「自己と他者の脳内身体表現生起メカニズム」と研究項目2「他者身体表現と自他共有身体表現の連関メカニズム」からなる。平成21年度は、研究項目1では、受動的運動および能動的運動において自己身体映像が遅延した場合および空間的に回転した場合の自己認識課題について行動実験を行った。その結果、能動的および受動的運動ともに約230ミリ秒の映像遅延が弁別閾値であること、その弁別曲線の傾きは能動的運動のほうが急峻であること、映像の回転が加わると弁別閾値が長くなることを明らかにした。また、同様の遅延視覚フィードバックを用いたラバーハンド錯覚実験を行い、約300ミリ秒の遅延まではラバーハンド錯覚が起こること、このときに運動感覚野で脳活動が有意に増えることを見出した。研究項目2では、対戦ゲーム観察中の脳活動を測定した。その結果、被験者が応援しているプレイヤーが勝ったときのほうが負けたときよりも運動野が有意に強く活動すること、被験者と向きの異なる(3人称的視点の)プレイヤーを応援するときに運動野の活動が強くなること、被験者がそのゲームに習熟している時にはむしろエラーをしたときのほうが運動野の活動が強くなる可能性があることなどを明らかにした。これらの研究成果は国際ジャーナル誌や国際学会等で既に発表を行っている。これらの成果は自他共有身体表現の活性が状況によって変化することを示唆するものであり、自他身体表現のダイナミクスに関して深い洞察を与えるものであるといえる。
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