2007 Fiscal Year Annual Research Report
勾配写像を利用した非ガウス型時空間モデルの設計法と評価法
Project/Area Number |
19700258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清 智也 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (20401242)
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Keywords | 勾配写像 / 凸最適化問題 / グラフィカルモデリング / 輸送問題 / 多変量解析 |
Research Abstract |
勾配写像に基づく非ガウス型モデル(以下「勾配モデル」と略記する)による近似的グラフィカルモデリングを提案した。勾配モデルとは、ガウス型分布を凸関数の勾配写像で引き戻してできる連続変量確率分布であり、最尤法が凸最適化問題に帰着されることや、独立性が線形部分モデルとして記述可能であるなどの利点を持つ。本年度は、特に勾配モデルをグラフィカルモデリングに役立てる方法を研究した。グラフィカルモデリングとは多変量の統計データの交互作用を、視覚的かつ統計的に表現するための一連の方法論である。従来、連続変量データに対して適用されるグラフィカルモデルはガウス分布に基づくものが主だったが、本研究で提案したモデルにより、非ガウス型のグラフィカルモデルを近似的に実現できた。具体的には、高次元の交互作用を検出するために勾配写像へ高次項を追加した。また、実際のデータに対してグラフィカルモデルを選択するための、パラメータ推定の手順およびモデル選択の手順を与えた。ここで、パラメータ推定において許容領域の判定条件について考察する必要性が生じたが、モデルを限定することにより、一定の十分条件を得ることができた。また、以上の研究とは別に、勾配モデルそのものの理論的性質について研究を続けた。特に勾配モデルと混合モデルの持つ情報量に関する不等式について考察した。この不等式の研究には、輸送問題と呼ばれる、最適化・偏微分方程式論の分野で扱われている問題との関連性が判明しており、今後研究成果としてまとめ、論文発表する見通しが立っている。
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