2008 Fiscal Year Annual Research Report
勾配写像を利用した非ガウス型時空間モデルの設計法と評価法
Project/Area Number |
19700258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清 智也 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (20401242)
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Keywords | 勾配写像 / 凸最適化問題 / グラフィカルモデリング / 輸送問題 / 多変量解析 / 不等分散性 |
Research Abstract |
勾配写像に基づく非ガウス型モデル(以下、勾配モデルと略記する)について、昨年度の成果を拡張した。勾配モデルとは、ある固定した確率分布を凸関数の勾配写像で引き戻してできる連続変量確率分布であり、最尤法が凸最適化問題に帰着されることや、独立性が線形部分モデルとして記述可能であるなどの利点を持つ。今年度の成果として、立方体上の多変量データに対する構造的なモデルを提案した。ここでは、立方体上では関数がフーリエ級数を用いて表されるという一般的な事実を利用した。フーリエ級数を用いたことにより、これまでは本質的に周波数が0か1の構造しか考えていなかったものが、高次の周波数まで扱えることになった。例えば、周波数ベクトルが2と1を含むものを考えると、回帰分析における不等分散性に類似した関係性を記述できることが明らかになった。さらに、不等分散性が持つ非対称な関係を利用して、従来のガウスモデルでは到底検出できないようなデータの依存関係を検出できることが分かった。以上の方法を用いる上でネックとなる点は、パラメータ空間の許容領域が陽に表されない点である。この問題に対しては、許容領域を内側から近似する集合列を陽に得たほか、許容領域より狭い集合ながらも計算が容易である集合を得た。後者については、副産物として、解がスパース性を持つことを数値的に確認できた。このスパース性を利用して、近年注目を浴びているラッソ型の推定量を構成した。その結果、実データに対して、ガウス型モデルよりも良い予測性能を持つモデルを選択できるケースがあることを指摘した。
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