2010 Fiscal Year Annual Research Report
勾配写像を利用した非ガウス型時空間モデルの設計法と評価法
Project/Area Number |
19700258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清 智也 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (20401242)
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Keywords | 勾配写像 / 凸最適化問題 / 輸送問題 / 方向統計学 |
Research Abstract |
勾配写像に基づく非ガウス型モデル(以下、勾配モデルと略記する)について、昨年度の成果を拡張した。勾配モデルとは、ある固定した確率分布を凸関数の勾配写像で引き戻してできる連続変量確率分布であり、最尤法が凸最適化問題に帰着されることや、独立性が線形部分モデルとして記述可能であるなどの利点を持つ。今年度は、勾配モデルの中でも様々な交互作用を入れた構造的勾配モデル(Structural Gradient Model,以下SGMと略記する)に対して、Efronの統計的曲率と呼ばれる量を評価した。Efronの統計的曲率とは、考えている統計モデルが指数型分布族からどの程度離れた分布族であるかを定量的に測ったものであり、推定や検定の理論においても重要な役割を持っている。モデルの特定の点(一様分布に対応)において統計的曲率を評価した結果、同じ点で同じスコア関数ベクトルを持つ混合分布族に比べ、SGMは小さい曲率を持っていることが示された。両モデルとも、尤度が陽に書け、最尤法が凸最適化問題になるという利点を持っているが、この結果から、SGMの方が有利な面もあることが示された。以上の結果は論文としてまとめ、査読付きの学術雑誌に掲載されることが決まった。次に、SGMは多変量データに対して適用可能なモデルであるが、これをさらに一般化して、時系列モデルも考えられるようにした。考える時系列は定常な時系列であるが、多変量時系列で様々な交互作用を扱えるようなモデルは少ないため、本研究の結果が応用される場面は少なからずあると考えられる。以上の結果は国際学会において発表した。
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