2008 Fiscal Year Annual Research Report
発現構造比較による網羅的なトランスクリプトーム解析手法の開発
Project/Area Number |
19700275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬尾 茂人 Osaka University, 情報科学研究科, 助教 (30432462)
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Keywords | 生物情報学 / 類似構造検索 / トランスクリプトーム解析 / 発現プロファイル / ゲノム |
Research Abstract |
本研究では, 新技術であるCAGE(Cap Analysis Gene Expression)法によって得られた発現プロファイルに基づくトランスクリプトーム解析手法に関する研究を行った. 遺伝子の転写制御・発現調節メカニズムがいかに多様であるとはいえ. 転写制御・発現調節メカニズムが類似した遺伝子は存在しており. そのような遺伝子の発現プロファイル間にはなんらかの形で共通するパターンが見られる可能性がある. 従来の発現量のみに注目した発現プロファイルに対し, CAGEでは発現量に加え正確な転写開始点の情報が得られるため. このデータを用いることで発現プロファイルとゲノム上の位置を関連付けて解析することができるのが利点である. 本年度は, 前年度の成果をもとに発現構造を軸とした既知の知見との連携方法の開発を行った. 一つは組織特異的な選択的スプライシングの推定手法である. 高等生物では発生段階や組織など環境に応じて, 時間的・空間的に選択的スプライシングを制御することによってアイソフォームを作り分けている例が知られており, 発現の多様性や制御ネットワークのメカニズムを解明する上で重要であると考えられる. 本研究では最尤推定アルゴリズムを用いた手法を開発し, マウスのゲノムとCAGEデータを用いて各遺伝子の組織特異的な選択的スプライシングを解析した. また, 発現構造の持つパターンをクラスタリングすることによって分類する手法を提案した. この手法を同じくマウスのデータに対して適用し, これらのクラスタと既知の転写因子群プロモータ群との対応関係を調査することで, 従来の手法では得られなかった新たな知見を得た.
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