Research Abstract |
81のメタゲノムデータから3,155,811個の遺伝子を収集し,細胞壁ペプチドグリカンを加水分解する酵素群をPfamドメインの検索により探索した.触媒残基の推定は,ドメイン検索により行った場合,タンパク質の全体が検出されるものがあったため困難であった.そこで,立体構造を予測しドメイン検索を併用することで触媒残基を推定することを試みた。ドメイン検索の結果,E-valueがe-10以下,かつ,PDBに登録されている配列に対するホモロジー検索の結果,長さの保存度が90~110%,相同性25%以上の条件を満たすタンパク質を選出した.その結果,5つの酵素群のうち,N-acetylmuramoyl-L-alanine amidaseでは342個,Carboxpeptidaseでは883個,Endopeptidaseでは874個,N-acetylglucosaminidaseでは62個,N-acetvlmuramidaseでは434個が立体構造を推定できると考えられた.さらに,立体構造を用いて触媒残基が推測できるかを調べるため,立体構造が既知(PDB id : 1r77B)なペプチドグリカンのペプチド架橋を加水分解する酵素ALE-1とペプチド架橋グリシン5量体との結合シミュレーションを行った.その結果,13個のアミノ酸残基が基質と相互作用していた.また,13個のうち3個のアミノ酸残基(Tyr276,Pro330,Glu320)がメタゲノム由来のホモログにおいて保存されており,さらに立体構造上の位置からTyr276が触媒残基の可能性が高いと推定された.以上の結果から,メタゲノム由来の配列からドメイン検索と立体構造情報を用いて機能と触媒残基を推定できうると考えられた.今後はこれらの解析を行えるシステムの構築が必要であり,これにより,高能率な酵素のデザインが行えるようになることが期待される.
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