2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700287
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 耕平 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (40332556)
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Keywords | ショウジョウバエ / 甘味 / 糖 / 細胞内情報伝達 / cAMP / アデニリルサイクラーゼ |
Research Abstract |
動物の主なエネルギー源である糖を、どのように味受容細胞が受容しているのか、ということを明らかにすることが当該研究の大きな目的である。 当該研究者はこれまでに、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いて、味覚、特に糖の受容に関与する分子の同定を行ってきた。その結果、これまでにショウジョウバエの甘味受容体は七回細胞膜貫通型受容体をコードする遺伝子、Gr5aによって作られていること、さらにGr5aと共役すると思われるGタンパクをコードする遺伝子、DGsaの同定に成功してきた。DGsa遺伝子によって作られる分子は、ほ乳類のGsaと相同性が高いことから、同じような分子経路に重要であると考えられている。ほ乳類のGsaはcAMPとよばれる環状ヌクレオチドを生成する分子、アデニリルサイクラーゼ(以下AC)と共役することが知られている。当該研究者はショウジョウバエの味受容器からmRNAを抽出し、発現している遺伝子を解析した結果、甘味を感じる受容細胞において1つのAC遺伝子が発現していることを見いだした。さらに、この遺伝子の発現を抑制した変異体を作成したところ、甘味に対する応答性が低下することを、行動学的、電気生理学的な解析から明らかにした。以上の結果から、ショウジョウバエの甘味受容にはcAMPを介した経路が重要であることが示唆された。 しかし、変異体の糖に対する応答性は、完全に消失したわけではなく、高濃度では野生型と遜色ない応答性を示す場合もある。変異体における糖に対する残留応答性がどのような経路によって発生しているのかを明らかにすることが、今後の課題となろう。
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