2007 Fiscal Year Annual Research Report
BDNFによる抑制性細胞を介した体性感覚野臨界期可塑性の制御メカニズム
Project/Area Number |
19700293
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
伊丹 千晶 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (90392430)
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Keywords | 大脳皮質 / 体性感覚野 / 臨界期 / GABA作動性ニューロン / BDNF / 神経可塑性 |
Research Abstract |
大脳皮質には様々なsensory mapが存在するが、このような機能マップは活動依存的に形成することが知られている。脳由来栄養因子(BDNF)は、体性感覚野の発達期可塑性に重要な役割が示されているが、我々はこれまでに、BDNFノックアウトマウスをもちいて、体性感覚野第4層に存在するGABA作動性抑制性細胞のサブタイプのひとつであるパルブアルブミン陽性細胞の電気生理学的性質が正常に発達しないことを示してきた。GABA抑制性細胞の機能発達に関与する分子、すなわちBDNFの下流シグナルを明らかにするため、DNAチップをもちいて遺伝子発現解析を行った。抑制性細胞のマーカーであるGAD67遺伝子部位にGFPをノックインしたマウス(GAD67-GFP)より体性感覚野を切り分け、セルソーターによりGFP陽性GABA抑制性細胞を分離し、Gene Chip解析を行った。まず、電気生理学的性質の発達に寄与する分子を明らかにするため、臨界期(P1O-15)でダイナミックに発現が変化するイオンチャネルに注目した。P4-9と比較すると、P10-15ではGluRδ2、GluRδ1、Kir5.1、Kir4.1,Kv1.1、IP3R-IIの発現が減少していたが、Trpm3、L-Ca^<2+>Rα2、GABAα2の発現は増加していた。次に、BDNF欠損マウスとGAD67-GFPマウスを交配し、BDNF欠損マウスの抑制性細胞を可視化し、同様の解析を行った。BDNF欠損マウス(P1O-15)では、同時期の野生型において発現が増加する遺伝子、数種類のconnexin、GluR6、Kv7.5、Kv4.3、Kv1.1の発現に減少傾向が見られた。このようなGeneChipの発現解析結果を確かめるため、P1O-15の野生型マウスにおいて、有意に発現が増加していたconnexin43(Cx43)をウエスタンブロッティングと免疫組織染色により確認した。免疫組織化学染色により、P14のマウス体性感覚野第4層においてCx43の発現が認められ、ウエスタンブロッティングにより、Cx43の発達に伴った発現増加が示された。
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