2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700295
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大石 康二 Keio University, 医学部, 助教 (80420818)
|
Keywords | 層構造 / 細胞間接着 / 大脳皮質 / ニューロン移動 / カドヘリン / プロトカドヘリン / 発生・分化 / 神経細胞 |
Research Abstract |
大脳皮質を構成するニューロンは、脳室帯から辺縁帯直下まで移動した後に皮質板形成に参加する。このニューロンの移動様式は、個々の細胞が独立して動くものであり、バラバラに移動してきたニューロンが再び集合して皮質板を形成する。一方で、皮質板を構成するニューロンは、各層で誕生時期が異なっていることがよく知られている。これらの事実から、誕生時期に依存した細胞同士の再集合が大脳皮質形成に必須であると考えられるが、この過程を制御するメカニズムについては、ほとんど明らかにされていない。我々はこれまでの研究から、カドヘリンファミリーのメンバーであるProtocadherinX (PcdhX)が層特異的に発現していることを見出しており、本研究ではPcdhXの生体内での機能解析を中心に検討を行った。 この分子のin vivoにおける機能を調べるため、RNA干渉法による発現抑制実験を、発生過程のマウス大脳皮質で行った。まず、293T細胞に外来性に発現させたPcdhXに対する発現抑制効果を調べることで、有効に作用するRNA干渉法用プラスミドを見出した。次に、このプラスミドを子宮内電気穿孔法により大脳皮質細胞に導入し、PcdhXの内在性の発現を阻害した。その結果、この分子の発現抑制によって、皮質第4層に正常に配置されず、第2/3層に位置することを見出した。さらに、この異常が現れる時期を検討したところ、ニューロンの移動には影響がなく、移動した後に最終的に皮質第4層に配置される過程で異常が生じることを見出した。 本研究の結果は、正常な大脳皮質層形成には、ニューロンの移動終了後の過程も正しく制御される必要があることを示唆している。ニューロンの移動後の過程の重要性については、これまでほとんど議論にされていなかったため、本研究は大脳皮質層形成メカニズムに新たな展開を与える可能性のあるものと考えている。
|
Research Products
(2 results)