2007 Fiscal Year Annual Research Report
歌行動スイッチングに対応した神経活動パターンシフトの観察
Project/Area Number |
19700308
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福田 諭 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物言語研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50425641)
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Keywords | HVC / カルシウムイメージング / 鳴禽類 / ジュウシマツ / BrdU / 新生神経細胞 / 急性スライス / 自発発火 |
Research Abstract |
本研究は、鳥類鳴禽類の歌生成システムにおける、大脳領域HVCの内在的リズム発生機構と、その自発的神経細胞発火パターンが外部からの入力によりどのようにシフトするかを目的とする。実験対象動物は、鳴禽類のジュウシマツを用いた。HVC領域の脳内微小回路を細胞レベルで直接観察するため、ジュウシマツの大脳を急性スライス化し、そのスライス上のHVC領域をカルシウムイメージング法により観察した。カルシウムイメージング法に用いられるカルシウム蛍光指示薬は、個体の出生直後を除くと脳細胞に負荷することが極めて難しいことが一般に知られているが、様々な負荷条件を検討することで、成体での脳細胞の自発的な10秒程度のカルシウム反応を検出することができた。これはこれまでHVC領域で報告されて来たリズムとは全く違う長いスケールでの反応で、新しい知見となった。また、細胞の同期発火現象と判断される反応を検出した。しかし、負荷方法の一部は条件が激しすぎ、細胞融合等による影響が考えられる。HVCは細胞がクラスタリングしている非常に特殊な脳部位であるため、今後はより厳密な条件検討を行う予定である。観察された自発的カルシウム反応は立ち上がりが速い神経細胞様反応と、10秒より長く緩やかなグリア細胞様反応の二種類があることから、今後は後染色を行い、神経細胞とグリア細胞を同定する予定である。観察中に蛍光ビーズなどを埋め込み、スライスを後染色し、細胞を同定する手技について改良している最中である。また、HVC領域は神経細胞の新生が成体においても続く領域であり、回路網中での新生神経細胞の関与も考えられることから、新生細胞の評価に必要なBrdUの染色手技の確立を行った。また、最終的に個体外部からの刺激による観察を行うため、2光子励起顕微鏡によるvivoでの観察に関しても準備を進めている。
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