2008 Fiscal Year Annual Research Report
歌行動スイッチングに対応した神経活動パターンシフトの観察
Project/Area Number |
19700308
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福田 諭 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物言語研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50425641)
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Keywords | HVC / カルシウムイメージング / 2光子励起顕微鏡 / ジュウシマツ / 聴覚刺激 / 自発発火 / in vivo / 鳴禽類 |
Research Abstract |
本研究は、鳥類鳴禽類の歌生成システムにおける、大脳領域HVCの内在的リズム発生機構と、その自発的神経細胞発火パターンが外部からの入力によりどのようにシフトするかを目的とする。実験対象動物は、鳴禽類のジュウシマツを用いた。昨年度は、共焦点顕微鏡と急性スライスを用いたカルシウムイメージング法により、成体HVC領域の脳内微小回路の細胞レベルでの活動の観察に成功した。これを受け、今年度はより生体に近く、また最終的な目的である個体外部からの音刺激による観察を行うため、in vivoでの脳内微小回路の活動を試みた。その結果、麻酔下で頭部を固定した個体のHVC領域の脳細胞の活動を、2光子励起顕微鏡を用いたカルシウムイメージング法により観察することに成功した。自身の歌を外部スピーカーにより聞かせることにより、細胞内カルシウム濃度を上昇させる細胞と、下降させる2種類の細胞が観察された。特に細胞内カルシウム濃度下降は、HVC内の局所回路において聴覚刺激に対し、興奮性だけでなく、抑制性の入力があり、複雑な情報処理がなされていることを示唆している。また、HVC領域は細胞がクラスタリングしていることからギャップジャンクションによる情報処理機構が疑われていたが、隣接した細胞で同時にカルシウム濃度が上がることは観察されなかった。この自身の歌に対する聴覚応答の他に、何も聞かせていない状態においても細胞の自発的な活動も観察されており、聴覚応答に対して神経細胞の活動がシフトすることが確認された。
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