2007 Fiscal Year Annual Research Report
制御できない学習という観点からの薬物中毒:前頭前野におけるドーパミンの役割
Project/Area Number |
19700309
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
アダム ワイテマイヤー The Institute of Physical and Chemical Research, Murphy研究ユニット, 研究員 (70419878)
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Keywords | 側坐核 / 先頭前野 / ドーパミン / 古典的条件付け / マイクロダイアイリシス / 薬物乱用 / 報酬 / マウス |
Research Abstract |
本プロジェクトの目的は、中脳辺縁系および中脳皮質ドーパミン神経活動がどのように依存性薬物による条件づけ行動の獲得や遂行に関与するのか検討することにある。昨年は条件付け場所嗜好試験において、モルヒネによる条件付け場所嗜好を獲得する際の側坐核ドーパミン、セロトニン活動の可塑的変化と条件付け場所嗜好の想起との関係を明らかとした。具体的には、場所嗜好試験の条件付け時にモルヒネを繰り返し投与するが、モルヒネによる中脳辺縁系の反応(モルヒネによる側坐核内ドーパミン、セロトニン量の増加)は投与を繰り返すことによって継続的に高まって行くという知見を得た。そして、この繰り返し投与による中脳辺縁系反応の上昇率とモルヒネ条件付け場所嗜好量との間に正の相関が見られた。この結果は、中脳辺縁系の「感作」が条件付け後の行動を規定していることを示している。これまでに、報酬刺激への繰り返しの露出による中脳辺縁系での可塑性の存在は示されていたが、このような可塑性が実際の行動にどのように影響するのかは示されていなかった。今回の知見は、このような点で非常に重要である。加えて、この課程にセロトニンが関与している事は新しい知見である。また、場所嗜好試験のテスト(想起)中のドーパミン神経活動をモニターした結果、モルヒネ場所嗜好のテストをしている際にはドーパミン量は対照群と比較して変化しないことを明らかとした。興味深いことに、場所嫌悪条件付け試験(ナロキソン誘発性場所嫌悪)の試験中には側坐核のドーパミン量が上昇していた。これらの結果は以下を示唆する。(1)依存性薬物により誘発された中脳辺縁系ドーパミンシステムにおける神経適応は薬物探索行動に強く関係している。(2)薬物探索行動の発現に側坐核のドーパミンの重要性は高くはない。
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Research Products
(3 results)