2007 Fiscal Year Annual Research Report
二次嗅覚神経回路形成における軸索性細胞認識分子BIG-1の機能解析
Project/Area Number |
19700311
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水口 留美子 The Institute of Physical and Chemical Research, シナプス分子機構研究チーム, 研究員 (70450418)
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Keywords | 軸索生細胞認識因子 / 嗅覚神経回路 / 僧帽細胞 / olfactory ensheathing cell (OEC) / BIG-1 |
Research Abstract |
嗅球僧帽細胞に発現する軸索性細胞認識因子BIG-1の発現と機能について調べるため、BIG-1遺伝子座に膜移行型蛍光蛋白質をコードするgap-Venusを挿入した遺伝子ターゲッティングマウスを作製した。このマウスのヘテロ個体を用いて、様々な発生段階においてBIG-1発現細胞の軸索の投射パターンの解析を行った。胎生期および成体マウスの脳に対して抗GFP抗体を用いた免疫染色を行い、gap-Venusの発現部位を確認した。その結果、lateral olfactory tract (LOT), olfactory tubercle, piriform cortexなどの嗅神経回路を含む脳の様々な領域に、gap-Venus陽性の軸索が検出された。gap-Venusの発現は発生期(胎生14〜18日)で特に強く、成体では(おそらく軸索の髄鞘化のために)検出が難しくなった。LOT中でgap-Venusの発現はventromedialの特定の領域を占め、このことからBIG-1陽性僧帽細胞の軸索は嗅覚神経回路の中で特定の領域を通って投射することが示された。また、発生期においてgap-Venusはolfactory ensheathing cell (OEC)の一部でも非常に強い発現が認められた。OECは嗅神経の嗅球への軸索投射に関与することから、BIG-1が僧帽細胞だけでなく嗅神経の回路形成にも関与する可能性が示唆された。さらに、ホモ個体の脳を用いてBIG-1欠失の表現形について調べたが、特に目立った異常は見つけられなかった。gap-Venus陽性細胞の軸索投射に関しても野生型と比べて大きな違いは見られなかった。今後はさらに詳細にホモ個体の解析を行うとともに、培養細胞系などを用いた実験によりBIG-1の機能について明らかにしていく予定である。
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