2007 Fiscal Year Annual Research Report
サブタイプ特異的な樹状突起形態の形成におけるLIMホメオボックス遺伝子の役割
Project/Area Number |
19700313
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
須賀 晶子 The Institute of Physical and Chemical Research, 中川独立主幹研究ユニット, ユニット研究員 (70450400)
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Keywords | 網膜 / 細胞形態 / 転写因子 / LIMホメオドメイン型転写因子 / ニワトリ胚 |
Research Abstract |
本研究ではニワトリ網膜水平細胞をモデルに、サブタイプ特異的に発現する転写因子が細胞の形態形成にどのような役割を持つか明らかにすることを目指した。発生後期の水平細胞ではLIMホメオドメイン型転写因子Limlがtype I水平細胞で発現しており、Isletlがtype II, type III水平細胞で発現している。本年度の研究では、まず、LimlとIsletlが水平細胞の分化・移動・形態形成時期を通して異なる細胞集団で発現していることを確認した。次に水平細胞が移動を終えた時期での機能阻害実験を行い、Limlを阻害するとtype I水平細胞の軸索が長く直線的に伸長し、Isletlを阻害するとtype III細胞の樹状突起の分岐が増えるという結果を得た。しかしサブタイプ間で形態が入れ替わることはなく、また異所的にLimlを発現させてもサブタイプマーカーや細胞形態の変化は見られなかった。これらの結果から、移動後の網膜水平細胞ではLimlとIsllはサブタイプ分化ではなく細胞の形態形成に必要と考えられ、研究計画で予想した2つの可能性のうち、LimlとIsletlがサブタイプ毎の独自の形態形成メカニズムに含まれる可能性が支持される結果となった。Limlは初期の神経組織の分化に重要なことが知られているが、最近マウス網膜の水平細胞でLiml遺伝子をノックアウトすると水平細胞の分化マーカーは保たれるが正常に移動しないことが報告されており、移動後の水平細胞で遺伝子機能を阻害した今年度の結果と合わせると、LIMホメオドメイン型転写因子は水平細胞の分化・移動・形態形成という発生過程毎に異なる役割を持っていると考えられる。
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