2007 Fiscal Year Annual Research Report
中脳ドーパミンニューロンへの入力の完成時期を経シナプス性逆行性標識により解明する
Project/Area Number |
19700317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 公一 Kyoto University, 医学研究科, 客員研究員 (10444457)
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Keywords | ドーパミン / 神経トレーサー / Cre-loxP / 仮性狂犬病ウイルス / 逆行性標識 / 神経回路 |
Research Abstract |
中脳ドーパミン作動性ニューロンのバースト発火活動が報酬予測誤差をコードしており、動物の意志決定や習慣形成へきわめて強い影響を及ぼすことが、W.Schultzらの仕事を始めとする一連の精力的な研究によって認知されるようになったが、いったい幼い動物の脳の回路発達過程においていつ頃からこのドーパミンを介した報酬予測神経回路が機能しているのであろうか。本研究は、改変型仮性狂犬病ウイルスPRV Ba2001を用いて、中脳ドーパミンニューロンへの入力の完成時期を明らかにすることを具体的な目的とする。平成19年度は、入手したTH-IRES-Creノックインマウスについて、免疫組織化学的にCreタンパク質の発現部位を検討し、中脳のドーパミンニューロン群について高い特異性でのCre発現を確認した。これにより、このマウス系統を用いて、Cre-loxPシステムを応用したドーパミンニューロン特異的な経シナプス性逆行性標識を実行するための必要条件のひとつを確認したこととなる。また、標準的な仮性狂犬病ウイルスについて成体ラット脳への注入感染実験を行い、仮性狂犬病ウイルスの振る舞いを調べた。また齧歯類新生仔の線条体への神経トレーサーの注入方法をほぼ確立することができたので、この手法を用いた研究成果について学会発表を行った。さらにin vitroで改変型仮性狂犬病ウイルスPRV Ba2001の性能試験を行い、期待通りの結果を得ている。以上のように平成20年度に向けて整えておくべき準備がほぼ完了したといえる。
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