2008 Fiscal Year Annual Research Report
中脳ドーパミンニューロンへの入力の完成時期を経シナプス性逆行性標識により解明する
Project/Area Number |
19700317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 公一 Kyoto University, 医学研究科, 研究員 (10444457)
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Keywords | 神経回路網 / 神経解剖学 / 生後発達 / 大脳基底核 / 線条体 |
Research Abstract |
中脳ドーパミン作動性ニューロンのバースト発火活動が報酬予測誤差をコードしており、動物の意志決定や習慣形成へきわめて強い影響を及ぼし得ると広く認知されるようになったが、いったい幼い動物の脳の回路発達過程において、いつ頃からこのドーパミンを介した報酬予測神経回路が機能しているのであろうか。本研究は、改変型仮性狂犬病ウイルスPRV Ba2001を用いて、中脳ドーパミンニューロンへの入力の完成時期を明らかにすることを具体的な目的としている。 平成20年度は、まず齧歯類新生仔線条体への神経トレーサーの注入方法が確立できた。TH-IRES-Creノックインマウス成体の線条体への改変型仮性狂犬病ウイルスPRV Ba2001の注入では、有効なウイルス感染が得られなかったため、同ウイルスをEmx1Creノックインマウス大脳新皮質に注入したところ、少数の皮質および視床ニューロンへの感染が得られた。実験に使用したウイルスの力価に問題があるものとみて、現在ウイルス調整法の再検討を行っている。 また上記の研究と並行して、生後1週までのラット線条体において、チロシン水酸化酵素免疫活性を強く示す「ドーパミンアイランド」が、小胞性グルタミン酸輸送体免疫活性を強く示す「グルタミン酸アイランド」とほぼ境界線を一にして共に「入力アイランド」を形成する一方、μオイピオイド受容体免疫活性強陽性の「パッチ」領域は、「入力アイランド」よりも一回り小さいことを見出し、責任著者かつ筆頭著者として論文に報告した。 さらに現在、齧歯類新生仔線条体への神経トレーサーの注入方法が確立できたことから、GFPを発現する改変型シンドビスウイルスを順向性トレーサーとして用いて、線条体マトリックス領域の投射ニューロンの軸索の成熟過程を単一ニューロン単位で解析することを推進中であり、この内容について学会発表を行った。
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