2008 Fiscal Year Annual Research Report
PACAPによるアストロサイト活性化制御機構の解明
Project/Area Number |
19700322
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中町 智哉 Showa University, 医学部, ポストドクター (30433840)
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Keywords | 細胞・組織 / 脳神経疾患 / 病理学 |
Research Abstract |
PACAPが生体内でアストロサイトの活性化因子として機能するか、またPACAP処理されたアストロサイトがどのような動態を示すかについては不明な点が多い。そこで本研究では虚血性神経細胞死誘導後に認められるアストロサイトの活性におけるPACAPの作用を検討した。 野生型マウスを用い、海馬に遅発性神経細胞死が誘導される一過性前脳虚血を施し、アストロサイト活性化領域(海馬領域)でのPAC1R発現量と発現細胞種の経時的変化をリアルタイムPCR法、ウェスタンブロッティング法および免疫染色法により比較した。その結果、PACAP受容体(PAC1R)mRMAは脳虚血12時間後、PAC1R免疫陽性反応は脳虚血1日後に発現がピークとなり、その後緩やかに低下して56日後には正常値に戻った。またPAC1R免疫陽性反応は、脳虚血1日目では主に神経細胞マーカーと重なったが、虚血3日後からはアストロサイトと一部重なるようになり、7日後には海馬の広範囲においてPAC1R免疫陽性のアストロサイトが観察された。次に培養アストロサイトに掻き傷を作成し、反応性アストロサイトを誘導する培養実験を確立した。掻き傷作成2日後には傷の周辺に強いPAC1R免疫陽性反応を示す反応性アストロサイトが観察された。そこで掻き傷作成後に最終濃度10^<-15>から10^<-7>MになるようにPACAPを添加したところ、PACAP10^<-11>、10^<-13>M添加群では傷害領域周辺部の増殖している反応性アストロサイトの割合が溶媒添加群の約2倍に増加した。さらにPAC1RアンタゴニストをPACAPと同時に投与することにより、PACAP誘導性のアストロサイトの増殖が有意に抑制された。 以上の結果から、PAC1Rは神経損傷領域を取り囲むアストロサイトにおいて強く発現し、PACAPは反応性アストロサイトの増殖を促進する作用を有することが明らかになった。
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Research Products
(11 results)