2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700330
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
梅本 丈二 Fukuoka University, 医学部, 講師 (30320287)
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Keywords | 神経筋疾患 / 咀嚼機能検査 / 嚥下造影検査 / 最大舌圧 / 口腔咽頭通渦時間 / 舌運動速度 |
Research Abstract |
昨年度は、神経筋疾患患者の咀嚼機能検査と嚥下造影検査(VF)の結果から、特にパーキンソン病.(PD)患者は最大舌圧が高い一方で、食塊の口腔通過時間が長いことを見出した。PD患者の死因には、肺炎・気管支炎が高率に挙げられており、その原因に不顕性誤嚥が考えられている。これまでPDの口腔期の異常として舌運動や咀嚼運動の障害、特に異常な舌運動による咽頭への送り込み障害が指摘されている。しかし、PDの咀嚼機能を定量的に評価した研究は渉猟した限りみられない。【目的】そこで今年度は特にPD患者に着目し、口腔機能検査と嚥下造影検査を用いて定量的に評価することとした。【方法】対象は、2007年4月かちの2年間にVFを行った福大病院神経内科と国立病院機構大牟田病院神経内科の年齢56歳から83歳までのPD患者24名。Hoehn-Yahrの重症度分類で、Stage IIとIIIの12名(男性6名、女性6名、平均年齢70.3歳)を1群として、StageIVとVの12名(男性5名、女性7名、平均年齢70.9歳)を2群として分類した。口腔機能検査として最大舌圧測定を行い、さらにゼラチンゼリーを用いたVF像の画像解析から食塊移送時間、舌背と下顎の運動速度を測定した。【結果】1群の方が最大舌圧は大きく、口腔咽頭通過時間が短く、舌背と下顎の運動速度が速かったが、両群に有意差があったのは下顎運動速度のみであった(p<0.05)。また、24名のPD患者について舌背運動速度の速いものほど口腔咽頭通過時間が短かった(p<0.01、R=0.531)。【まとめ】PD患者は、PD症状の進行に伴い最大舌圧が低下し、口腔咽頭通過時間が延長し、舌や下顎の運動速度が低下する患者が増えることが示唆された。また、PD患者の舌の動作緩慢が、食塊の口腔から咽頭への送り込み障害に大きな影響を及ぼしていることが示された。
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Research Products
(4 results)