2007 Fiscal Year Annual Research Report
βシヌクレインによる幹細胞の神経分化誘導機構の解析
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19700332
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
藤田 雅代 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (90415539)
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Keywords | シヌクレイン / 細胞分化 / 神経変性 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
1:骨髄系細胞を用いたβsynによる神経細胞への分化誘導系の確立シヌクレイン(syn)には、α、β、γの3種が存在し、神経系に主に発現する生理機能未知の蛋白である。本研究において、βsynを過剰発現させた骨由来細胞株において、神経細胞様の形態を示し、神経細胞に発現するマーカー蛋白の発現が誘導されることが認められた。このことから、βsynは神経細胞分化促進的に機能すると考えられる。また、βsyn過剰発現細胞において、細胞内のcAMP濃度が高いことが見出され、分化促進の機構として、cAMP経路を介した機序が示唆される。一方で、家族性のレビー小体型認知症家系において発見された、変異型βsyn(P123H)を過剰発現させた神経芽細胞株においては、蛋白封入体が形成されることが認められ、野生型のβsynのような神経分化への促進的ではなく、病的に作用することが示唆された。 2:変異型βsynP123Hトランスジェニック(Tg)マウスの神経分化に関する解析生体における変異型βsynP123Hの作用を解析するため、Tgマウスを作成し、19年度は、まず表現系の解析を行い、モデル動物としての確立を試みた。老齢のTgマウスでは、大脳基底核におけるsyn陽性の封入体形成に加え、運動能力の低下、自発運動の低下が認められた。また、封入体は、神経末端に存在し、小胞が蓄積された形態を示していた。これらの結果から、変異型βsynP123HTgマウスがシヌクレイノパチーと総称されるような神経変性疾患の新しいモデルとなりうることが示唆された。
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