2008 Fiscal Year Annual Research Report
AβのN末端部の脳内アミロイド蓄積部位に与える影響
Project/Area Number |
19700333
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
武田 和也 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 血管性認知症研究部, 特任研究員 (40393160)
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Keywords | 痴呆 / 老化 / 脳神経疾患 / 神経科学 / アミロイド / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)脳に蓄積しているアミロイドβタンパク質(Aβ)の一次構造は均一ではなく、N末端およびC末端の形状が異なる分子種が存在する。また遺伝子変異や病態によって、Aβの脳内における蓄積部位には差異が見られる。本研究では、アミロイドの蓄積部位とAβの分子種との関連性について明らかにするため、C末端側に比べ不明な点の多いN末端側構造の異なる分子種、特にAβ5-40/42に着目して、その脳内における動態の解明を試みた。 具体的には、Aβの前駆体タンパク質であるAPPを過剰発現しているトランスジェニック(Tg)マウスの脳を、Aβ5-xを特異的に認識する抗体を用いて解析した。加えて、Aβ5-40/42をマウス脳内で過剰に生成するTgマウスを作製し、これを解析した。 昨年度までに、Aβ5-40/42をマウス神経細胞において特異的に過剰生成させるためのベクターを構築し、Tgマウスの作成を開始した。今年度になって得られたマウスの遺伝子解析の結果、数系統のファウンダーマウス(F0)を確認した。F0より得られたF1マウスの脳タンパク質を解析した結果、導入遺伝子の過剰発現およびAβの過剰生成を確認、本研究目的に合致したTgマウス系統の樹立に成功した。このTgマウスの脳アミロイドについては、未だ十分な加齢マウスが得られていないため、今後も解析を継続していく。また、変異型PS1Tgマウスとの交配により、Aβ5-42の生成を亢進させたダブルTgについても解析を進めていく。本研究で作製されたこれらのTgマウスは、AβのN末端およびC末端の形状が脳アミロイドの形成においていかなる寄与をしているかを明らかにする上で、重要なモデルとなることが期待され、ADなどに見られるアミロイド蓄積部位の差異について、新たな知見を与える可能性がある。今後、各種の解析結果を総合して論文誌上で報告する予定である。
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