2007 Fiscal Year Annual Research Report
変異γPKC発現細胞及びモデル動物を用いた脊髄小脳変性症に対する新規治療薬の探索
Project/Area Number |
19700343
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関 貴弘 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50335650)
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Keywords | 脊髄小脳失調症(SCA) / プロテインキナーゼCγ / 凝集体形成 / アポトーシス / トレハロース |
Research Abstract |
遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因として同定された変異γPKCは細胞内で凝集体を形成し、アポトーシスを誘発することが明らかとなっている。そこで、SCA14に対する新規治療薬を探索する目的で、変異γPKCの凝集体形成を抑制する薬物を探索し、以下の結果が得られた。 (1)変異γPKC発現培養細胞を用いたin vitro薬物スクリーニング系の確立。 ドパミン神経由来細胞株であるSH-SY5Y細胞にアデノウイルスベクターを用いて変異γPKC-GFPを発現させることにより、1-2日で変異γPKC-GFPの凝集体形成が蛍光観察可能であり、さらに3日後には多くの細胞でアポトーシスが誘発されていた。この細胞系を用いることで凝集体抑制作用を有する薬物のスクリーニングが可能ではないかと考えられる。 (2)二糖類トレハロースにより変異γPKCの凝集体形成、アポトーシス誘発が抑制された。 (1)で確立した実験系を用い、様々な薬物の凝集体形成に対する効果を検討したところ、二糖類の一つであるトレハロースにより変異γPKCの凝集体形成が有意に抑制された。また、変異γPKCによるアポトーシスも有意に抑制した。 以上の結果より、トレハロースは変異γPKCによる細胞毒性に抑制効果があることが判明し、未だ有効な薬物が得られていないSCAI4の新規治療薬の候補となるかもしれない。来年度はinvitroスクリーニング系を用いて引き続き、薬物の探索を続けるとともに、培養小脳プルキンエ細胞やトランスジェニックマウスを用いてトレハロースが神経細胞レベルやin vivoでも変異γPKCによる細胞毒性に有効かどうかを検討していく予定である。
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