2008 Fiscal Year Annual Research Report
変異γPKC発現細胞及びモデル動物を用いた脊髄小脳変性症に対する新規治療薬の探索
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19700343
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関 貴弘 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50335650)
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Keywords | 脊髄小脳失調症(SCA) / プロテインキナーゼCγ / 凝集体形成 / アポトーシス / トレハロース / コンゴーレッド |
Research Abstract |
昨年度は遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因として同定された変異γ PKCの凝集体形成及び細胞死誘発に対するin vitro薬物スクリーニング系を確立し、二糖類トレハロースが変異γ PKCの凝集体・アポトーシスを抑制することを明らかにした。本年度は、SCA14の病変部位である小脳プルキンエ細胞において変異γ PKCが引き起こす様々な異常に対する薬物の効果を見るとともに、薬物スクリーニング系を用いて他の薬物の効果も検討し、以下の結果が得られた。 (1) マウス初代培養小脳プルキンエ細胞に変異γ PKCを発現させるとともに、トレハロースを処置することにより、培養細胞株と同様に、トレハロースは変異γ PKCの凝集体形成やアポトーシス誘発を抑制した。また、変異γ PKCによって引き起こされるプルキンエ細胞の樹状突起縮小や変異γ PKCの流動性低下、トランスロケーション能の低下もトレハロースが抑制することが明らかと成った。 (2) SH-SY5Y細胞を用いたin vitro薬物スクリーニング系により、アミロイド抑制化合物であるコンゴーレッドが変異γPKCの凝集体形成を抑制することが明らかとなった。また、コンゴーレッドは初代培養小脳プルキンエ細胞に発現させた変異γ PKCに対しても凝集体形成、流動性低下、アポトーシス誘発といった様々な異常を改善する作用を示した。 以上の結果はトレハロースやコンゴーレッドは培養細胞株だけでなく、SCA14の病変部位である小脳プルキンエ細胞においても変異γ PKCによる様々な異常を改善しうることを示しており、SCA14の新規治療薬となりうる可能性を示すものである。
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