2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
Molecular analysis of ephrin-Eph associated signaling pathways in the neural stem cell proliferation and differentiation
Project/Area Number |
19700346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
SAWADA Takahiro Wakayama Medical University, 付置研究所, 助教 (00382325)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 細胞内情報伝達 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
私達はチロシンキナーゼ型受容体の1つであるEphA4が、異なるファミリーに属する受容体であるFGFRとヘテロ複合体を形成し、この複合体がそれぞれの受容体の下流シグナルを増幅・制御していることを発見した。このシグナルの下流にはRas-MAPK経路およびRho-family Guanine Nucleotide Exchange Factor(GEF)であるephexinを介する経路が存在する。Ras-MAPKは、受容体複合体とはFRS2というドッキング蛋白分子を介して繋がっており、ephexinは受容体複合体に直接結合している。これらの知見をもとに、複合体シグナルの詳細な分子メカニズムと幹細胞の増殖・分化・遊走における役割を解明することを目的とし、下記の研究計画を進めている。 (1) 従来FGFRのドッキング蛋白と考えられていたFRS2がEphA4と直接結合することが判明したため、これら3分子のそれぞれの結合部位を特定するための実験を施行する。 (2) EphA4-FGFR複合体から下流へのシグナル伝達で重要な働きをするFRS2はリン酸化されるべき複数のTyrを保持しているが、EphA4とFGFRにより異なる部位のTyrのリン酸化を受けることが予備実験で判明している。このため、(1)の結果を用いて結合ドメインを阻害する分子を細胞内で発現させ、それぞれの分子の複合体への組み込みを特異的にブロックすることにより、下流シグナルへの影響を調べる。(3)ephexinがEphA4のみに結合してその作用を受けるという従来の考え方とは異なり、FGFRからも作用を受けることを発見したことからephexinがFGFRによりリン酸化を受けるTyrを決定し、そのリン酸化ephexinのRhoGTPaseへの作用を調べる。また、このシグナルは細胞の遊走および軸索の伸展に関係するため、その観点から神経系細胞への作用を調べる。(4)他のEph受容体とFGFRとの結合能および結合部位を、293細胞を用いた共発現実験等の手法で調べる。(5)神経幹細胞の増殖および分化におけるEphA4-FGFR複合体シグナルの作用を調べる。(6)EphA4がFGFR以外の増殖因子受容体との結合を示す結果が得られている事から、特にEGFRとのクロストークを調査し、これらの結合ドメインの決定と神経幹細胞の増殖・分化に及ぼす影響について調べる。
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