2008 Fiscal Year Annual Research Report
視床ー大脳皮質回路におけるてんかん発生メカニズム解明
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19700351
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱田 幸恵 Kyoto University, 医学研究科, 研究員 (00399320)
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Keywords | 精神・神経疾患の病態と治療 / てんかん |
Research Abstract |
てんかんは比較的罹患率の高い神経疾患である。現在は大半が投薬により症状を抑えることが可能である。しかし、薬物によるコントロールが進んだ現在においても十分に症状を抑えられない患者が数多く存在する。これらの背景には、抗てんかん薬は経験的に使用されているが、それらの作用機序に関して不明な点が多いことが挙げられる。抗てんかん薬の作用を特定する為には脳という回路の中でてんかん中に見られる異常波がどのように発生されるか明らかにする必要がある。本研究はてんかんの一種である欠神発作(小発作てんかん)におけるてんかん発生メカニズム解明を目的とし、脳スライス標本を用いたスライスパッチクランプ法による電気生理学的解析を行った。欠伸発作は特徴的な脳波である3Hzのspike-and-waveが大脳皮質全体に同期して認められる事から、視床と大脳皮質を結ぶ神経ネットワークの異常が原因となり生ずると考えられている。そこで、本研究では視床からの入力を受ける大脳皮質4層の自発発火において視床の影響を受けるかどうか検討を行った。大脳皮質4層の抑制性細胞に入力する自発的興奮性シナプス電流(sEPSC)を欠神発作モデル動物であるtotteringマウスと野生型マウスで比較した。その結果、視床と大脳皮質の繋がった脳スライス標本ではtotteringマウスと野生型マウスでsEPSC電流量および発生頻度に変化がなかった。しかし、視床と大脳皮質の繋がった脳スライス標本から視床を切り落としたスライス標本においては、totteringマウスは野生型マウスよりsEPSC電流量および発生頻度に優位な増大が認められた。本研究によりtotteringマウスは自発的活動において視床の影響を受けず、既に大脳皮質内が過興奮に働くことが明らかになった。
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