2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイドスクリーニングによる遅発性神経変性関連遺伝子の同定と解析
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19700353
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
米倉 真一 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40443113)
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Keywords | ショウジョウバエ / スクリーニング / 軸策変性 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ショウジョウバエは遺伝学的な研究が容易であり、哺乳類の神経細胞死の特徴も兼ね備えた動物である。そこで本課題は、ショウジョウバエを用いたゲノムワイドの網羅的なスクリーニングを行うことで、新規の遅発性神経細胞死に関連する遺伝子を同定・解析を行うものである。本スクリーニングから遅発性神経変性のフェノタイプを有するショウジョウバエ379A株を得ることに成功した。379A株は神経細胞死ではなく軸索変性を引き起こしていることを明らかとし、マッピングした結果、379A株の原因遺伝子は、Miltonであることが明らかとなった。Miltonはミトコンドリアの順行輸送に必要不可欠な分子として明らかになっているが、379A株においてもミトコンドリアの順行輸送に異常が認められた。しかしながら、軸索におけるミトコンドリアの輸送異常だけでは軸索の変性は生じないことが明らかとなった。近年、Miltonはミトコンドリアのみならず他のタンパク質の輸送に関与するアダプタータンパク質であることが明らかとなっている。379A株における軸索変性は、軸索における、何らかのタンパクの輸送異常であることが予想されることから、今後、379A株を解析していくことで、軸索変性の分子基盤を明らかにしていけるものであると考考ている。一方、同じMiltonの変異体であっても変異部位により、軸索変性、軸索の異常伸長と全く異なるフェノタイプを有することを明らかにした。Miltonはalternative splicingにより少なくとも4つのアイソフォームを有しているが、これら変異部位は異なるalternative splicing exonに存在していた。これらのことより、Milton遺伝子の分子多様性が軸索の形態維持において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)