2007 Fiscal Year Annual Research Report
小脳生後発達初期の登上線維シナプス競合におけるシナプス伝達素過程の機能的変化
Project/Area Number |
19700355
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 真紀 (谷 真紀) Hokkaido University, 電子科学研究所, 研究員 (60396702)
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Keywords | development / slice patch clamp / BDNF / cerebellum / AMPA receptor / live imaging / synaptic depression |
Research Abstract |
・小脳登上線維-プルキンエ細胞シナプスは、脳の発達に伴い多重支配から単一入力へとシナプスの選択・除去が行われる。小脳発生の比較的早い段階に生じるシナプス競合のメカニズムを明らかにするため、発生開始から14-19日のさまざまな発生段階にあるニワトリ胚を用い、小脳の代表的な神経細胞であるプルキンエ細胞及びBermannグリアの関与・役割に着目した。 ・蛍光標識分子の1分子レベルでの検出が可能なイメージングを行うための顕微鏡システムを作成した。またこの高感度ライブイメージングと同時に電気生理学的実験を可能にするための実験装置を組み込んだ。 ・さまざまなニワトリ胚発生ステージにおける小脳スライス標本を作製し、微分干渉顕微鏡像によりBergmannグリアおよびプルキンエ細胞の位置や形態的構造を確認した。 ・蛍光色素Cy3を付加した脳由来神経栄養因子(BDNF)を精製・作成した。同様の合成条件で作成した蛍光神経成長因子でその生理活性が保持されていることを脊髄後根節神経細胞の軸索伸長反応をアッセイとして確認した。これを胚性14日(E14)、E17およびE19の小脳スライスに投与し蛍光観察を行ったところ、どのステージにおいてもBergmannグリアの突起膜上に強い結合がみられた。 ・継時的蛍光ライブイメージング観察を行いBergmannグリアの突起膜上におけるcy3-BDNF分子の動態を調べた。発生の比較的早い段階(E14)において活発にグリア突起膜上を細胞体側へ向かって移動するのが確認できた。 ・登上線維-プルキンエ細胞シナプスは強い短期シナプス可塑性を示す。短期シナプス抑圧のシナプス前・後機構の生後発達変化を明らかにするに当たって、短期シナプス抑圧に関する研究に適したラット脳幹聴覚中継核calyx of Heldシナプスにおける生後発達変化メカニズムを明らかにし、論文にまとめた。
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