2008 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトによる活動電位の軸索伝導の修飾
Project/Area Number |
19700356
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山崎 良彦 Yamagata University, 医学部, 准教授 (10361247)
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Keywords | 海馬 / 白板 / オリゴデンドロサイト / 活動電位 / グルタミン酸受容体 / 伝導速度 / 髄鞘 / ラット |
Research Abstract |
平成19年度の研究おいては、海馬白板に位置するオリゴデンドロサイトの形態学的および電気生理学的な性質について調べ報告した。本年度は、このオリゴデンドロサイトによる活動電位の軸索伝導に対する修飾効果を検討した。オリゴデンドロサイトと錐体細胞から同時にホールセル記録し、軸索を逆行性に伝導してくる活動電位の潜時を測定した。オリゴデンドロサイトを記録電極を通して直接脱分極(-20mV, 1Hz, 30回)すると、10-12秒後に錐体細胞で記録される活動電位の潜時が短くなりはじめ、最大で約10%短くなった。オリゴデンドロサイトの脱分極が終わると、潜時は速やかにコントロールレベルに戻った。この変化は27例中4例のみで観察されたが、実験後の染色により、変化がみられなかった例では記録したオリゴデンドロサイトと軸索が離れて位置していたのに対し、変化がみられた4例ではオリゴデンドロサイトの突起の領域を軸索が走行していることを確認した。 以上のことから、オリゴデンドロサイトの脱分極により、活動電位の伝導速度が速くなることがわかった。平成19年度でオリゴデンドロサイトが神経活動によって脱分極することを報告しているので、本年度の結果から、オリゴデンドロサイトが活動依存的に軸索の機能を修飾しうると考えられた。また、この修飾効果の機序には、髄鞘を形成する突起のダイナミックな形態的変化が含まれる可能性が示唆された。
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