2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンを用いて生殖細胞の増殖・分化メカニズムを探る
Project/Area Number |
19700368
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯谷 綾子 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (20444523)
|
Keywords | トランスポゾン / 生殖細胞 / 性染色体 / 遺伝子操作マウス |
Research Abstract |
雌雄キメラマウスを用いた解析によって、誕生するまでの間はXX型であっても、生殖細胞は精巣内に存在すれば、周りの環境に影響を受けXY型と同じように雄の生殖細胞として分化する。しかしながら、誕生後、雄に分化したXX型生殖細胞はXY型が精子へと分化する環境下でも増殖せずに消滅してしまう。このような表現形は雌雄キメラマウスやXX型雄のXX型雄性生殖細胞だけでなく、クラインフェルター症候群のモデルマウスであるXXY型雄の生殖細胞でも同じような傾向がみられ、精原細胞の増殖・分化に2本のX染色体が何らかの阻害効果をもたらしていると考えられた。 これらの原因を明らかにするために、トランスポゾンを用いて、ランダムにX染色体の領域を欠損させたXX型生殖細胞を作製し解析を行うために、平成19年度に引き続き、平成20年度もXX型でSryのトランスジーンを持ち雄の表現形を示すES細胞の樹立を試みた。最初、ES細胞が樹立しやすいと言われている129/Sv系統を用いて樹立する予定であったが、性ホルモンの感受性が低いため、過排卵処理を施しても排卵数が少なく129/Sv系統のF1からES細胞を樹立することはできなかった。そこで、性ホルモンに対して感受性の高い別の系統を用いることによって、多数の胚から3ラインのXX型のES細胞を樹立することができた。並行して、ランダムにX染色体の領域を欠損させるために、トランスポゾンを含むトラップベクターの構築も進めたが、今年度中にXX型ES細胞への導入には至らなかった。
|