2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫構築マウスをもちいた感染症モデルマウスの樹立および末梢T細胞分化の解析
Project/Area Number |
19700369
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小林 直樹 Kumamoto University, エイズ学研究センター, 特定事業研究員 (40433023)
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Keywords | ヒト免疫構築マウス / T細胞 / 分化 / 感染症 / モデルマウス |
Research Abstract |
NOD/SCID/Jak3ノックアウトマウス新生仔の肝臓に、ヒトCD34陽性臍帯血幹細胞を移入し、移入から10週後、移入マウスより末梢血を採取し、ヒト免疫細胞の発生を確認したところ、移入マウスの末梢血細胞の約0.2-18%がヒトCD45陽性細胞であり、それらヒト免疫細胞中にはヒトCD19陽性細胞およびヒトCD3陽性細胞が含まれていた。また、移植から17週後もこれらのヒト免疫細胞は移入マウスの末梢血において維持されていることも明らかになった。そこで、移入マウスから肺臓、胸腺、骨髄を採取し、各臓器におけるヒト免疫細胞の局在について解析したところ、ヒト免疫構築マウスの脾臓細胞の約43%がヒト免疫細胞であり、末梢血よりも高頻度のヒト免疫細胞が存在していた。また、胸腺中のヒトCD45陽性細胞のほぼすべてがヒトCD3を発現しており、骨髄中にはCD19陽性細胞が確認された。したがって、マウス新生仔の肝臓に注射されたヒト臍帯血幹細胞は胸腺、脾臓、骨髄へ遊走し、ヒトT細胞およびヒトB細胞へと分化・成熟していることが示唆された。加えて、移入マウスのヒトCD3陽性細胞中にはヘルパーT細胞であるCD4陽性細胞および細胞傷害性T細胞であるCD8陽性細胞の発生も認められた。そこで、ヒト免疫構築マウスにおけるヒトCD8T細胞の分化・成熟について解析を行ったところ、ナイーブ表現型およびメモリー表現型を示す細胞集団が認められ、移入マウスの末梢においてヒトCD8T細胞がナイーブ細胞からメモリー細胞へ分化していることが示唆された。以上のことから、NOD/SCID/Jak3ノックアウトマウス新生仔の肝臓にヒトCD34陽性臍帯血幹細胞を移入することにより、ヒト免疫構築マウスの作製に成功し、本研究で樹立したヒト免疫構築マウスはヒト免疫細胞の分化およびワクチン開発の研究において有用なモデル動物であると期待される。
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Research Products
(1 results)